
チャートを閉じたあとに、ふとこう思ったことはありませんか?
「この負け方、前にもやった気がする…」
ロットも、手法も、時間帯も一応考えているつもり。
それでも気づけば、口座残高だけがじわじわ削れていく月がある。
- 連敗が続いているのに、「そろそろ勝てるはず」とポジションを増やしてしまう
- 生活費に近いお金まで口座に入れてしまい、チャートを見ている間ずっと胃が痛い
- 仕事のストレスをそのまま持ち込んで、イライラしたままロットを上げてしまう
これらは「根性が足りないから」でも「才能がないから」でもありません。
兼業トレーダーとしての「一度休む基準」が決まっていないだけ、ということも多いです。
この記事では、生活防衛FXトレーダーとしての実体験と、行動経済学・メンタルの知見をもとに、
「その負け方をしたら一度休む」という兼業トレーダーの基準5つと、
「休む」と決めたあとに何をすればいいか
を整理していきます。
想定しているのは、本業を持ちながらFXを続けている社会人1〜3年目の会社員です。
「専業トレーダーになりたい」というより、
「給料+月1〜3万円でも自分の力で増やせたら、不安が少し軽くなるはず」
そんなふうに感じている人に向けて書いています。
この記事でわかること|「一度休む基準」の決め方
- 兼業トレーダーが「一度休むべき」と判断する5つの基準
- その基準に当てはまったあと、資金とメンタルを立て直す具体的なステップ
- 再開するときに決めておきたいロット・回数・マイルールの作り方
- 今日からできるミニワークで、自分なりの「やめどき」を言語化する方法
僕が「一度休もう」と決めざるを得なかった月の話

ある月の最終日、口座の履歴を見返していて背筋が少し冷たくなる感覚がありました。
勝ちトレードもそれなりにある。
なのに、月初と比べて残高は2割近く減っている。
1回ごとの損失は、ルール上は「口座の1〜2%以内」のはずでした。でも実際には、
- 連敗が続いた日に、ロットを上げて取り返そうとしたトレード
- 仕事のストレスがピークで、「今日はスカッと勝ちたい」と入った無計画なポジション
- 生活費に近いお金を口座に足してしまい、含み損に耐えられなくなった決済
こうした「自分で決めたはずのルールからの逸脱」が、じわじわと積み上がっていたのです。
そのとき初めて、「勝ち方」よりも先に「一度休む基準」を決めていなかったことに気づきました。
そこから、生活防衛FXという視点で、「この負け方をしたら一旦距離を置く」基準を具体的に決めていくようになりました。
ここから紹介する5つの基準は、僕自身の反省と、行動経済学の考え方を組み合わせて整理したものです。
兼業トレーダーが「一度休む」と決める5つの基準

専業トレーダーのように、「どれだけドローダウンに耐えるか」を競う必要はありません。
兼業トレーダーにとって大事なのは、
「生活を壊す前に、いったんブレーキを踏めるかどうか」です。
そのための目安として、次の5つの「一度休む基準」を提案します。
基準1:口座残高が「元本から −20%」に達したとき
まず決めておきたいのが、「元本からどこまで減ったら一度止まるか」という基準です。
たとえば、元本10万円でスタートしたなら、残高が8万円を割り込んだ時点で、いったん新規エントリーを止めて振り返る、というイメージです。
この基準を決めていないと、
- 「もう少しやれば戻せるかもしれない」
- 「ボーナスが入るまで粘ればなんとかなる」
といった感情に引っ張られ続けて、気づいたら半分以上溶かしていたということになりがちです。
対策のポイントは、
- 入金したタイミングで「この口座の元本はいくらか」をノートに書いておく
- 残高が−20%に近づいてきたら、ロットを下げる or 新規エントリーを控える
- −20%を超えたら、必ず1〜2週間は「振り返り期間」にする
数字の水準は人それぞれですが、「どこかで必ず一度止まる」と決めておくこと自体が大切です。
基準2:3ヶ月連続で月次マイナスになったとき
短期の勝ち負けに一喜一憂するより、「月トータルでどうだったか」を見る方が健全です。
とはいえ、3ヶ月連続でトータルマイナスが続いているなら、
- 手法と時間帯が今の生活リズムに合っていない
- ロットやトレード回数が、多忙な兼業にはオーバーサイズ
- 感情に左右される場面が多く、ルールが形骸化している
など、どこかの前提がズレている可能性が高いです。
対策としては、
- 「4ヶ月目は、新しいエントリーを減らして検証中心にする」とあらかじめ決めておく
- 勝ちトレードと負けトレードを10個ずつピックアップして、「何が違うか」を箇条書きにする
- 「やらない曜日・やらない時間帯」を増やして、環境要因を絞る
「続けるか・やめるか」の前に、一度立ち止まって設計図を見直す期間を挟むイメージです。
基準3:生活費・固定費に手をつけた瞬間

これは数字よりも優先度の高い基準です。
家賃・食費・光熱費・通信費など、生活を維持するための出費に手をつけて入金してしまったら、その時点で「一度完全に休む」ことをおすすめします。
なぜなら、
- 負けたときの心理的ダメージが大きすぎる
- チャートを見ている間じゅう、「負けたらどうしよう」という不安が頭から離れない
- 冷静さよりも、「当てなきゃいけない」というプレッシャーが前に出てしまう
からです。これは、トレード技術の問題ではなく環境設計の問題です。
対策としては、
- FX用の口座には「余剰資金以外は入れない」とルール化する
- 生活費から入金してしまった月は、新規エントリーを中止し、翌月に一度リセットする
- 先に「生活防衛資金◯ヶ月分」を別口座に退避しておく
「生活費を入れた瞬間に、一度休むべきサインを踏んだ」と、はっきり認識できるようにしておくことが大切です。
基準4:睡眠と仕事のパフォーマンスが落ちてきたとき
兼業トレーダーにとって、本業のパフォーマンス低下はそのまま「生活防衛」の危機です。
次のようなサインが出始めたら、トレードの量や頻度を見直すタイミングと考えてください。
- 含み損を引きずって眠れず、寝不足が続いている
- 仕事中もチャートが気になり、ミスが増えてきた
- 周りの人に「最近イライラしてない?」と言われることが増えた
対策のポイントは、数値的な基準だけでなく、「生活の乱れ」を一度休むサインとして扱うことです。
- 「3日以上続けて寝不足になったら、新規エントリーはしない」と決める
- 仕事のミスが続いた週は、チャートチェックだけに留める
- 「イライラ」「不安」を感じたら、ロットを半分以下に落とす or その日はトレードしない
FXは「生活を良くするための手段」であって、生活そのものを削る理由になってはいけません。
基準5:「取り返したい」が口癖になったとき
最後の基準は、数字ではなく自分の口ぐせです。
トレードのあとの振り返りで、ノートや頭の中に次のような言葉が増えてきたら要注意です。
- 「今日のマイナスだけでも取り返したい」
- 「この1回で今月分をチャラにしたい」
- 「さっきの損切りが悔しいから、もう一回入りたい」
こうした言葉が増えているときは、すでに「計画していたリスク」ではなく「感情の発散」としてのリスクを取り始めています。
対策としては、
- ノートの端に「取り返したい」と書いた日には、その時点でチャートを閉じる
- 「取り返す」という言葉を、「次の10回のトレードの質を上げる」に言い換える
- 感情が強く出た日は、トレードノートだけ書いて実際のエントリーはしない
口ぐせは、自分のメンタル状態を知らせてくれる大切なシグナルです。「取り返したい」が増えてきたら、それを一度休むサインとして扱いましょう。
「休む」と決めたときにやっておきたい4つの準備

一度休む基準に当てはまったからといって、FXそのものを永久にやめる必要はありません。
大事なのは、「ただ落ち込んで離れる」のではなく、「整える期間」として活かすことです。
準備1:休む期間を先に決めてしまう
なんとなく離れて、なんとなく戻ると、同じパターンを繰り返しやすくなります。
おすすめは、
- 「◯週間は新規エントリーをしない」
- 「その間は、過去チャートとトレードノートの振り返りだけに絞る」
といったように、期間とやることをセットで決めておくことです。
準備2:口座から一部を出金し、「燃料」を減らす
口座にお金がたくさん入っていると、ついエントリーしたくなる誘惑が強くなります。
休むと決めたタイミングで、
- 元本の一部を銀行口座に戻す
- 「この金額で再スタートする」と再設定してメモしておく
といったように、物理的にも「一歩引いた状態」をつくると、感情的にも落ち着きやすくなります。
準備3:負けトレードの「共通点」を3つだけ見つける
休む期間中に、負けたトレードを全部細かく分析しようとすると、途中で嫌になってしまいます。
まずは、直近の負けトレードから10個だけピックアップして、
- 時間帯はいつが多いか
- どの通貨ペアが多いか
- どんな感情のときにエントリーしているか
など、共通点を3つだけ探してみてください。
「21〜23時のエントリーが多い」「イライラしているときにロットを上げている」など、パターンが見えてきたら、それだけでも大きな前進です。
準備4:再開するときの「上限ロット」と「週あたりの回数」を決める
再スタートを切るときに、前と同じロット・同じ回数に戻してしまうと、同じ結果になりやすいです。
そこで、
- 「再開から◯週間は、このロット以上は絶対に上げない」
- 「週あたりのトレード回数は最大◯回まで」
といったリハビリ期間のルールを紙に書いておくと、感情に流されにくくなります。
「やめどき」と「再開の条件」をセットで決める
「一度休む基準」というと、「やめるタイミング」だけに意識が向きがちですが、「いつ・どんな状態なら戻ってきてもいいか」も一緒に決めておくと安心です。
たとえば、次のような再開の条件をおすすめします。
- 最低◯日間は、新規エントリーなしでチャートとノートの振り返りだけを続けた
- 負けトレード10件の共通点を3つ書き出した
- 再開後のロットと、1回あたりのリスク%が明文化されている
この条件を満たしたら、「準備は整った」とみなして、小さなロットから再開するイメージです。
大事なのは、
「感情が落ち着いたから戻る」のではなく、
「条件を満たしたから戻る」
という形にしておくことです。これだけでも、再開後の暴走リスクはかなり減らせます。
「一度休む基準」に関するよくある質問
Q1:−20%という数字は絶対ですか?もっと攻めてもいい気がします。
A:−20%はあくまで一つの目安です。
重要なのは数字そのものではなく、「ここまで来たら一度止まる」という基準を先に決めておくことです。生活防衛FXの視点では、最初はやや厳しめの目安にしておく方が、長く続けやすいと感じています。
Q2:一度休む基準に当てはまったら、FX自体をやめるべきでしょうか?
A:必ずしもそうではありません。
この記事でいう「一度休む」は、「完全に諦める」ではなく「一度距離を取って整える」という意味です。むしろ、無理に続けて資金とメンタルを削るより、早めに休んで設計を見直した方が、長期的にはプラスになりやすいと感じています。
Q3:休むときに、含み損ポジションはどうすればいいですか?
A:ケースバイケースですが、
「これ以上持ち続けることで、生活やメンタルへの負担が大きい」と感じるなら、一度ゼロベースに戻すことも選択肢です。そのうえで、なぜそこまで耐えてしまったのか、ルールと感情の両方から振り返ることが大切です。
今日からできる「やめどきチェック」ミニワーク3つ

最後に、この記事を「読むだけ」で終わらせないためのミニワークを3つ用意しました。どれも5〜10分でできます。
- 今の口座に対して「元本」と「−20%の目安」を書き出す
・いくら入金してスタートしたか
・今の残高はいくらか
・元本から−20%はいくらか(◯円)
この3つをノートかメモアプリに書いてみてください。
「どこまで減ったら一度止まるか」が、はっきり言葉になります。 - 直近1ヶ月のトレードを、月単位でざっくり振り返る
・トータルはいくらのプラス or マイナスか
・「本当はやめておけばよかった」と思うトレードは何回あったか
その結果を見て、
「◯ヶ月連続でマイナスだったら一度休む」と、自分なりの基準を1行で決めてみてください。 - 自分なりの「やめどきの口ぐせ」を決めておく
ノートの端に、
「この言葉が頭に浮かんだら、その日はやめる」というフレーズを1つ書きます。
例)「取り返したい」「今日は絶対勝たなきゃ」など。
実際にその言葉が出てきたら、それを一度休むサインとして扱ってみてください。
まとめ|「一度休む基準」があれば、退場は防ぎやすくなる

「一度休む基準」は、「負けたときに自分を責めるためのもの」ではなく、
「生活を守りながらFXを続けるための安全装置」です。
- 元本からの−20%・3ヶ月連続マイナスなど、数字の目安を決めておく
- 生活費・睡眠・本業のパフォーマンスといった「生活の乱れ」をサインにする
- 「取り返したい」が口ぐせになったら、その日はチャートを閉じる
- 基準に当てはまったあとは、期間・やること・再開条件を決めて「整える期間」にする
この記事が、
「どこまでいったら一度休むか」を言語化するきっかけとして、そして
「退場しない兼業トレーダー」であり続けるための小さなヒントとして、役に立てばうれしいです。
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[PR]一度休む基準を守りやすくするトレード環境づくり
ここまで、兼業トレーダーの「やめどき」や一度休む基準についてお話ししてきました。最後に少しだけ、その基準を守りやすくするトレード環境について触れておきます。
レバレッジを使うFXでは、画面の分かりやすさや発注のしやすさが、そのままミスの少なさやメンタルの安定につながります。
- ロット入力を間違えて、本来より大きなポジションを持ってしまう
- 証拠金維持率やロスカット水準が分かりにくく、「どこまで耐えられるか」が把握できない
- 閉じたかったポジションとは別のポジションを決済してしまう
こうしたミスは、手法やメンタルの前に、取引画面の設計や操作性が影響していることも少なくありません。
僕が兼業トレーダーとして使っているDMM FXは、
- ロット・損益・有効証拠金・維持率がひと目で分かるシンプルな画面構成
- 比較的タイトなスプレッドで、少額トレードでもコストを抑えやすい
- 指値・逆指値・OCOなど、事前に決めた損切りや利確のルールを自動で反映しやすい注文機能
- 取引量に応じたポイントやキャンペーンといった還元
といった理由から、「生活を崩さずにFXを続けたい兼業トレーダー」にとって、候補のひとつになり得ると感じています。
もちろん、どの口座を選ぶかはあなた自身の判断です。ただ、
「自分の基準を守りやすい環境を整えたい」と感じたなら、一度スペックやキャンペーンをチェックしてみても良いかもしれません。
最後に:リスクと付き合ううえでの大切なお知らせ

株式・投資信託・FX・暗号資産などの金融商品は、元本や利益が保証されているものではありません。
特にレバレッジを利用した取引では、相場の変動によって短期間で大きな損失が発生する可能性があります。
本記事の内容は、特定の銘柄や口座開設・投資行動を推奨・勧誘するものではなく、あくまで筆者の経験や考え方を共有するものです。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任で行ってください。
生活費や借入金を元手にした取引は避け、余剰資金の範囲内で、「退場しないこと」と「自分に合ったリスク管理」を意識していきましょう。

